水素製造研究部門

水素製造技術は既に工業的に実用化されているものとして、天然ガスの水蒸気改質、アルカリ水電解、バイオマス発酵等があり、将来技術としては、石炭ガス改質、バイオガス改質、水電解、水の熱化学分解や光分解等などが挙げられます。当部門では、水素製造の共通基盤となる改質触媒技術などに関して基礎学理の追究を行う一方で、将来技術の中でも特にバイオガス改質等に注目して実用化に向けた課題解決型の応用研究も行っています。

 

1.水素製造における改質触媒の解析・設計基盤の開発

水素はいわゆる二次エネルギーであり、天然ガス、石油、石炭、バイオマス等の様々な一次エネルギー源を触媒を用いて改質する事により製造する事が可能です。例えば天然ガスの水蒸気改質の場合、触媒として工業的にはアルミナ担持されたニッケルを用いる事が多いが、炭素析出や硫黄系不純物による触媒性能の劣化が問題であり、劣化耐性の高い新規触媒が模索されています。当部門ではこのような改質触媒の解析・設計を容易にするために、密度汎関数法等の計算理論を駆使してコンピュータ実験を行い、触媒表面における反応・電子状態等の解析知見(例えば図2)を取得・集積すると共に、触媒設計に必要な学理の追究、新規解析手法の考案を含めた取得知見の基盤・体系化を行っています。

 

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図1 計算理論によるコンピュータ

実験の模式図

図2 解析例(メタン水蒸気改質主要

反応経路のエネルギー図)

2.バイオマスを用いた水素製造プロセス等における反応機構解明

再生可能エネルギーであるバイオマスから生成されるバイオガスの改質による水素製造は将来有望視されている技術の一つです。しかし、バイオマスと呼ばれるエネルギー原料は木質、畜産廃棄物、農業残渣、下水汚泥等多岐にわたり、水素を効率よく製造するにはこれらの各原料に応じた触媒反応機構を理解し、触媒性能を最適化する事が重要になります。本部門では特に下水汚泥からの水素製造プロセス(図3)の実用化に向け、機械工学部門の日本ガス協会水素製造システム講座と連携して実験・理論協働による反応機構解析や下水汚泥由来のバイオガス改質に適した触媒設計を行っています。また、水素製造プロセスのみならず機械工学部門の水素利用プロセス講座と連携することで、畜産廃棄物や農業残渣等の低品位バイオガスからの直接内部改質による固体酸化物形燃料電池を用いた発電技術の開発にも携わっています(図4)。

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図3 下水汚泥エネルギー利用の模式図

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図4 バイオガス直接内部改質反応の熱的分布解析の模式図

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