大谷 昇 教授

PROFILE

大谷 昇 教授

Professor Noboru OHTANI

1960年、東京都生まれ。1984年に東京工業大学修士課程物理学専攻修了。同年、新日本製鐵(株)入社。同社中央研究本部第一技術研究所配属。その後、エレクトロニクス研究所を経て、先端技術研究所に勤務。一貫して、半導体材料・デバイスの研究開発に従事。特に、パワーデバイス用シリコンカーバイド(SiC)半導体の研究開発・事業化に注力。2008年に関西学院大学教授に就任。その間、1991~1993年英国Imperial College London博士課程在学。1993年同課程修了(Ph.D.取得)。1997年日本金属学会技術開発賞受賞。2007年日経BP技術賞受賞。

研究内容シリコンカーバイド(SiC)半導体の結晶成長と欠陥物理学

地球温暖化抑制に向けて、省エネ技術として大きな期待が寄せられているシリコンカーバイド(SiC)半導体の研究を行っています。SiC半導体を電力変換素子に用いると、電気エネルギーの大幅な省エネルギー化を実現できます。SiC半導体を実用化・普及するための重要な技術課題は、大型で良質なSiC単結晶を得ることです。私の研究室では、大型高品質SiC単結晶の実現に向けて、SiC単結晶中の結晶欠陥の生成機構解明を進めています。

担当科目一覧

  1. 先進エネルギーナノ工学入門(学部1年前期)
  2. 基礎物理学実験Ⅱ(学部2年後期)
  3. 固体電子論(学部3年前期)
  4. エネルギー半導体工学(学部3年後期)
  5. 先進エネルギーナノ工学詳論(学部4年前期分担)
シリコンカーバイド(SiC)半導体の結晶成長と欠陥物理学
Keyword

ワイドギャップ半導体、シリコンカーバイド(SiC)
パワー半導体、結晶成長、結晶欠陥

研究テーマ

  1. SiC単結晶成長における欠陥発生過程の研究
  2. SiC単結晶表面のステップ構造の研究
  3. 高濃度窒素添加SiC単結晶における積層欠陥発生機構の研究
  4. SiCエピタキシャル薄膜の表面・界面欠陥の研究

研究の背景

私の研究室では、省エネルギー半導体であるシリコンカーバイド(SiC)単結晶中の結晶欠陥の研究を行っています。世の中の多くの物質は、原子が規則正しく並んだ“結晶”からできています。「規則正しく」と書きましたが、実際の結晶には色々と「規則正しく」なっていない部分があります。これが結晶欠陥です。結晶欠陥は、その空間的な拡がりの次元により、点欠陥(0次元)、転位(1次元)、積層欠陥(2次元)と分類され、その最小寸法は概ね原子・分子レベル(ナノメートルスケール)の大きさです。結晶欠陥の多くは、その結晶が生成(成長)する際に導入されます。従って、結晶欠陥の研究は結晶成長の研究と密接な関係にあり、私の研究室でもこの二つを常に関連付けて研究を進めています。
世の中でもっとも完成度の高い結晶は、皆さんがお持ちのスマートフォンのマイクロプロセッサやメモリに使用されているシリコン(Si)単結晶と思われますが、このシリコン単結晶にさえ未だ研究対象となる結晶欠陥が存在しています。結晶欠陥の研究はその舞台としてどのような結晶を選ぶかによって、その物理的な興味や研究手法が異なってきますが、私の研究室ではその対象として、近年、産業界で省エネルギー半導体として注目が集まっているSiC単結晶(禁制帯幅の大きな半導体で、ワイドギャップ半導体と呼ばれます)を取り上げています。
SiC単結晶は非常に頑丈な材料で、半導体の中でも力仕事に適した半導体と言えます。力仕事をする半導体(パワー半導体)は、身近なところではエアコンや電気自動車のインバータ(電気エネルギーの変換を司る装置で、例えば直流を交流に変換したりします)などに使用されています。このようなインバータにSiC単結晶を適用すると、電気を用いて仕事をさせる(例えば自動車を走らせる)際に、熱として無駄にしていたエネルギーを大幅に削減することができます(つまり省エネルギー化を実現できます)。
次世代の省エネルギー半導体として大きな期待が集まっているSiC単結晶ですが、その結晶中にはまだまだ多くの結晶欠陥が存在しています(多いと言っても、原子数で言えば1億個に1個ぐらいの割合なのですが)。結晶欠陥があると、期待される特性が発現しなかったり、信頼性が得られなかったりします。このように、ミクロな大きさの結晶欠陥がほんの少し存在するだけで、材料のマクロ的な特性が変わってしまうところが結晶欠陥研究の興味深いところであり、工業的に重要な点ではないかと思います。私の研究室では、SiC単結晶中の結晶欠陥の成因・発生機構を明らかにし、その知見を基に、より良質な単結晶を実現することを産業界と一緒に進めています。興味のある学生さんのご参加をお待ちしています。

教育目標

エネルギー問題は難敵です。その解決には、かなりの時間と労力が必要になると思います。皆さんには、この難敵にチャレンジするための「知識」と、その解決を通して社会に貢献しようとする「使命感」を身に付けてもらいたいと思っています。我々教員はそのお手伝いをしたいと思っています。

共同研究先一覧

国内民間企業数社

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