ダイレクト・ヒドラジン燃料電池

 

 化石エネルギーから水素、電気エネルギーへとシフトしている現在、自動車業界でもEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)といったZEV(ゼロエミッション車)の研究が盛んになっています。その中で田中研究室では自動車にも搭載できる液体燃料から身近な元素を用いた触媒で発電する「ダイレクトヒドラジン燃料電池」の研究を行っています。
 この燃料電池は、現在主流になりつつある水素燃料電池に比べて「貴金属を使用しない」「燃料が持ち運びやすい」「エネルギー密度が高い」のような特徴があります。限りある資源で高価な貴金属触媒を使用せずに高い出力が得られるため、燃料電池のコストを抑えることができます。また、水加ヒドラジンは液体燃料であり、ポリタンクでも持ち運べるので運搬性に優れています。これらの特徴からFCVとして場所を問わず普及できるポテンシャルを持っていることがわかります。
 研究室では、時には全体的に、時には部分的に、燃料電池の課題解決や性能向上を目指しています。全体的には、燃料電池を一から組み上げ、システム全体としての弱点克服を、部分的にはラボでの電気化学測定や大型放射光施設SPring-8でのXAFSの解析を用いて触媒の活性向上を試みています。そう遠くない未来で量産化できる燃料電池自動車を目指して、チーム一丸となって課題解決に取り組んでいます。

 

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