パワエレ機器経由の分散電源が大量に接続される電力システムを、安心・安全・安定に利用するために
パワーエレクトロニクス(PELS: Power Electronic System)研究室では、「パワーエレクトロニクス」と「電力システム」の双方に関連する幅広いテーマに取り組んでいます。特に、将来のゼロエミッション社会の実現に向け、持続可能な再生可能エネルギー由来の分散電源の有効活用、高精度なデータ解析、地域に優しいモビリティとの融合を視野に、基礎研究から応用開発までを展開しています。
• 1. 仮想同期発電機(VSG)制御など,先進制御手法を搭載する電力変換装置の開発
仮想同期発電機(Virtual Synchronous Generator: VSG)制御とは,電圧形成(Grid-Forming)形インバータ(電力変換装置)の制御方式の一つであり、災害時や事故時において強靭な電力系統維持に貢献する技術です。本研究室では、既存のVSG制御手法にとどまらず、これに代わる革新的な制御方式や回路技術を搭載した電力変換装置の開発に取り組んでいます。
• 2. インピーダンスベース解析など,新しいデータ駆動形手法による電力系統解析技術の研究
分散電源が大量に接続される次世代電力システムでは、システムの大規模化や非線形性の高まりにより、従来のモデルベース手法による解析が困難になるケースが増加しています。そこで本研究室では,インピーダンスベース解析,クープマンモード解析、ヒルベルトファン変換といった多様なデータ駆動型解析手法を用いて、電力系統全体の安定性をデータベース上で評価します。これらの解析に、数学的手法に基づいたモデルベース手法を組み合わせることで、安定性向上に貢献する解析技術の確立を目指しています。
• 3. 動的に変化する電力系統に対するオンライン安定性解析・制御手法の研究
近年の電力系統に接続される分散電源は、かつてのような一か所の大規模発電所とは異なり、任意の場所・タイミングで接続と切断を繰り返します。このような間欠性により、電力系統はあたかも生き物のようにその特性を変化させるため、安定性解析はさまざまな箇所で反復的に(オンラインで)実行する必要があります。本研究室では、電力系統を長期的に安定運用するための最適化手法や予測計画手法の開発に取り組んでいます。