研究室訪問について

はじめに(卒業研究を始めるみなさんへ)

卒業研究に取り組んでもらう大きな目的の一つは、皆さん自身が「この研究のここがすごいんだ」と最後の卒業研究発表の場で1年間頑張ったことをアピール・説明し、他人に伝えることだと私は考えています。もちろん素晴らしい成果(技術)で社会に貢献すること工学部のミッションではありますが、本来研究とは物事の真理を明らかにするためによく調べ考える行為のことです。なので、言われた通りに実験してこんな結果になりました、では研究とは言えないのです。そもそも良い成果とは誰が決めるのですか?先生が「良い結果だね」と言ったら良い結果ですか?そうではなく、結果の良し悪しそのものを皆さん自身がしっかりと根拠を持って決めるのです。仮に良くない結果だったとしても、「これはこういう理由でダメだということがわかった!」と胸を張って言えばいいのです。

もし常識では考えられないようなとんでもない技術を運よく発見できたとします。自分でも信じられないようなすごい成果です。それをどうやって他人にアピールするか考えてみてください。ただ話しても、そんなわけないよ、と信じてくれません。そこを信じてもらうには、常識の上に新しいデータを一つ一つ積み重ね、そして理論で裏付けてゆく必要があります。海岸から水平線はるか向こうにかすかに見える島を目指して少しずつ橋を架けていくような作業ですが、どんなルートを取るのか、どんな材料・デザインの橋を作り始めるのか、計画から実行に至るまで全て自由です。この過程こそが研究であって、橋のデザインや強さは研究者の発想と努力の結晶です。そして振り返ったときに美しく丈夫な橋が架かっていれば、たとえ未完成であってもそれは取り組んだ人の武器(自信)となり、人生の次の舞台でも大いに役に立つことでしょう。

教員の役目はどの島を目指すのかを示し、そこを目指す学生のみなさんの手助けをすることだと思っています。ただし、どこが最短距離なのか、どうすれば安全に辿り着けるのかは教員も知りません(それがわかっていたら新発見にはならないですよね)。それでもある程度の経験と知識があるので、大怪我しないようにアドバイスはできます(たぶん…)。そして、どのように橋のデザインを決めたのか、そのルートを取ったのはなぜか、など論理的にわかりやすく説明してもらうことを重視します。これは就職活動に限らず今後仕事をする上で必須となる、成果を他人に効果的にアピールする能力、すなわちプレゼンテーション能力を身につけてもらうためです。

研究に向いているかどうかは、わかるわからないよりも、考え続けることができるかどうかだと私は思っています。全然わからないこと、面白くないことはあまり考えたくありませんよね(私もそうです)。なので、研究に取り組む上で、興味のあるなしは非常に重要です。是非とも色々な研究室の話を聞いて、興味を持って取り組めそうなことを見つけてください。

研究室紹介の資料

研究室紹介用の資料(学内専用, 要ログイン)を置いておきますのでご参照ください。

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