研究内容

研究の背景

身の回りの機械や機器には多くの磁性材料が使われています。高性能な磁性材料を活用することで、現代の私たちの生活は豊かに便利になり、そしてエネルギー利用の効率も高められます。たとえば、ハイブリッドカーや電気自動車のモーター、風力発電機などには強力な永久磁石が使われています。また、クラウドサーバーやパソコンのハードディスクでは、厚さ数ナノメートルの磁性膜にデジタル情報を高密度に記録しています。これらの材料は、異なる元素や物質をナノスケールで組み合わせた人工磁性材料です。人工磁性材料の機能がどのようなメカニズムで得られるのかを、元素ごとに電子状態レベルで、しかもナノ分解能で解析できる強力なツールが放射光です。本研究室では、放射光解析によって得られる情報を、より高性能な材料の開発指針とすることで、先端的な磁石材料の応用に基づく持続可能社会の実現に貢献します。

研究テーマ

大型放射光施設SPring-8や、X線自由電子レーザー施設SACLAを用いて先端磁性材料の解析を行い、材料の磁性機能を解明します。主な研究テーマとして、(1) X線磁気トモグラフィー法による物質内部の3次元磁区構造観察と磁性機能の解明、(2) X線自由電子レーザーを用いたフェムト秒領域の磁気ダイナミクスの研究、(3) 白金 (Pt) などの貴金属がナノスケールで発現する磁性の解明、に取り組んでいます。本研究室では、放射光X線の偏光特性を活用し、磁性材料のメカニズムを原子レベルで明らかにします。そのための新しいX線分光手法や磁気イメージング手法を独自に開発しています。

図1. X線磁気トモグラフィー測定による物質内部の磁区構造の3次元観察

共同研究先

高輝度光科学研究センター (JASRI)、理化学研究所放射光科学研究センター (RSC)、物質・材料研究機構 (NIMS)、京都大学、東京大学、大阪大学、東北大学、兵庫県立大学など、多くの大学や研究所との共同研究を行っています。

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